クエイ兄弟 ファントム・ミュージアム 岡崎市美術博物館

アニメーションの奇才 アジア初の回顧展

双子のスティーヴンとティモシーによる、アメリカ出身の「ブラザーズ・クエイ」は、とりわけ実験的な人形アニメーション作家として著名であり、イギリスを拠点に活動しています。本展は、彼らの創作とその源泉も含めてご紹介するアジア初の個展です。また2012年にニューヨーク近代美術館で開催された回顧展および、2014年にスペインを巡回した展覧会「変容」での内容を踏まえて、日本展用に再構成を行っています。
本展では、5章の構成からクエイ兄弟の創作活動を振り返ります。彼らがフィラデルフィア芸術大学在学中に制作した作品をはじめ、強く関心を持ち影響を受けたポーランドのポスター、素描、アニメーション撮影のセットを再現したマケット、映像作品に登場したパペットやタイトルの原画、舞台美術のマケットやスチル写真など、初期作品から近年の活動に至るまでの展開をご紹介します。

CHAPTER

  • Ⅰ. ノーリスタウンからロンドンへ
  • Ⅱ. 映画
  • Ⅲ. ミュージック・ヴィデオ&コマーシャル
  • Ⅳ. 舞台芸術&サイト スペシフィック・プロジェクト
  • Ⅴ. インスタレーション&展覧会

Ⅰ. ノーリスタウンからロンドンへ

双子のスティーヴンとティモシーのクエイ兄弟(1947―)は、フィラデルフィアから北西約10キロメートル、ペンシルヴァニア州モンゴメリ郡の郡都ノーリスタウンで育ちました。
1965年、彼らはフィラデルフィア芸術大学(PCA)に入学します。そして1967年、クエイ兄弟は在学中のPCAで開催された「ポーランドのポスター芸術」展を目撃し、東西冷戦の当時には未知のものであった東欧の文化芸術に対して強い関心を持つようになります。1969年、PCAを卒業したクエイ兄弟はロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)に進学し、その後の彼らにとって映画制作上の盟友となる、当時は映画専攻の学生であったキース・グリフィス(1947―)に出会います。RCAを修了後、アメリカで仕事をしながら制作を行っていたクエイ兄弟は、1979年に英国映画協会(BFI)に勤めていたグリフィスと再会します。
本章では、クエイ兄弟がPCA在学中に制作した作品をはじめとして、彼らが魅了されたポーランドのポスター、そしてRCA修了後の1970年代に鉛筆で描かれた一連のドローイング「黒の素描」を展示し、彼らの創作の源泉をご紹介します。

画像:クエイ兄弟《ペナルティーキックを受けるゴールキーパーの不安》1970年代
Courtesy Tommy Simoens, Antwerp
《ペナルティーキックを受けるゴールキーパーの不安》1970年代

Ⅱ. 映画

1979年、彼らを学生時代から知るグリフィスの勧めで英国映画協会(BFI)制作委員会から資金を得て、クエイ兄弟は映像作家として最初の作品『人工の夜景―欲望果てしなき者ども』を制作しました。その後5年間、クエイ兄弟とグリフィスは毎年1本のドキュメンタリー映画を制作し、また舞台芸術とコマ撮りアニメーションを組み合わせた実験的な映像表現も試みています。
1986年に制作された『ストリート・オブ・クロコダイル』は、同年のカンヌ国際映画祭短編部門にノミネートされ、アニメーション制作者としてクエイ兄弟の名を世界的に知らしめた作品です。この作品以降、彼らの創作活動は、多岐にわたる分野へと展開していきますが、2本の長編実写映画や、3本のバレエ映画も手掛けるなど、映像の制作においても表現の多様化がみられます。
本章では、彼らの映像作品においてみられる、アニメーション撮影のセットを再現したマケットや、登場するパペットを中心に、映像作家としてのクエイ兄弟の魅力に迫ります。

上:クエイ兄弟『ヤン・シュヴァンクマイエルの部屋』より デコール《プラハの錬金術師》1984年
photo©Robert Baker

下:クエイ兄弟『ストリート・オブ・クロコダイル』より デコール《仕立屋の店内》1986年
photo©Robert Baker
『ヤン・シュヴァンクマイエルの部屋』より デコール《プラハの錬金術師》1984年 『ストリート・オブ・クロコダイル』より デコール《仕立屋の店内》1986年

Ⅲ. ミュージック・ヴィデオ
&コマーシャル

『ストリート・オブ・クロコダイル』(1986年)の成功によって、クエイ兄弟の創作活動は、ミュージック・ヴィデオやコマーシャル映像の制作へと裾野を広げていきます。
ミュージック・ヴィデオの制作背景には、ニューヨークとロンドンに拠点を置く音楽専門のケーブルテレビ・チャンネル、MTVの開局が、アニメーションの世界に大きな影響を与えたことがひとつの契機として挙げられます。MTVの革新性には、才能ある若手作家に依頼し、音楽とアニメーションを組み合わせたミュージック・ヴィデオを制作することで、ミュージシャンの新しい姿を創り出したことが挙げられます。
またクエイ兄弟は、イギリス、アメリカ、フランス向けのテレビ・コマーシャルと公共広告の制作を1986年から2001年頃まで継続的に請け負っています。
本章では、ミュージック・ヴィデオやコマーシャルの制作に関するパネルと併せて、マケットや、パペット、リトグラフなどをご紹介します。

画像:クエイ兄弟 デコール《BBC2のアイデント》1991年 photo©Robert Baker
デコール《BBC2のアイデント》1991年

Ⅳ. 舞台芸術&サイト
スペシフィック・プロジェクト

クエイ兄弟は、1988年から演劇、バレエ、オペラなどの舞台芸術の舞台デザインやその視覚効果としてのヴィデオ映像を精力的に手掛けています。その対象は、ウィリアム・シェイクスピア(1564-1616)やモリエール(1622-1673)の演劇、ピョートル・チャイコフスキー(1840-1893)やセルゲイ・プロコフィエフ(1891-1953)のオペラ、そして新作のバレエやオペラに至り、実に多彩です。
彼らと舞台芸術との出会いは、1985年に遡ります。『ギルガメッシュ叙事詩を大幅に偽装して縮小した、ハナー・ルウス局長のちょっとした歌、またはこの名付け難い小さなほうき』(1985年)の制作時に、キム・ブランドストラップ(1957-)の振付によるダンスとパフォーマンスを撮影したことから、その後、クエイ兄弟がブランドストラップのバレエ『ディブック』の舞台デザインを手掛けています。
本章では、日本ではあまり知られていないクエイ兄弟の活動に着目し、パネルやマケットとともにご紹介します。

画像:『町人貴族』ロイヤル・ナショナル・シアター、ロンドン 1992年
『町人貴族』ロイヤル・ナショナル・シアター、ロンドン 1992年

Ⅴ. インスタレーション&展覧会

クエイ兄弟による最初のインスタレーションは、1997年にボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館で開催された展覧会「ロプロプが示す/再現する―見る意向/衝動」に出品した、覗き箱のような装置である《ロプロプの巣》です。この時のキュレーターの勧めにより、その後クエイ兄弟は、2006年のオランダ・フェスティバルにおいて18の「デコール」と呼ばれるアニメーションのセットと舞台デザインの模型を展覧会「ドルミトリウム」として展示しました。これらのアニメーションのデコールは、実際に撮影に用いたセットとパペットを再構成して箱に納めたものです。「ドルミトリウム」のデコールの一部は、本展においても他の章でご紹介しています。
また、2012年にニューヨーク近代美術館で開催された展覧会「クエイ兄弟―読唇術人形のための調剤師の処方箋を解読することについて」は、美術館におけるクエイ兄弟の最初の回顧展です。2013年にアムステルダムのEYE映画博物館で開催された「クエイ兄弟のウニヴェルズム」展では、クエイ兄弟の創作とイメージの源泉について注目されています。
本章では、クエイ兄弟に関する展示についてこれまでの系譜を振り返り、ご紹介します。

OUTLINE

クエイ兄弟
―ファントム・ミュージアム

会期 2018年4月7日(土)- 5月20日(日)
主催
協力
企画協力
主催/協力/企画協力
岡崎市美術博物館、中日新聞社
神奈川県立近代美術館
株式会社イデッフ
会場 岡崎市美術博物館(マインドスケープ・ミュージアム)
http://www.city.okazaki.lg.jp/museum/index.html
〒444-0002
愛知県岡崎市高隆寺町峠1 岡崎中央総合公園内
休館日 毎週月曜日
*ただし4月30日(月・祝)は開館、
翌5月1日(火)は休館
時間 10:00 - 17:00(入場は16:30まで)
お問合せ TEL 0564-28-5000(代表) / FAX 0564-28-5005

TICKET

観覧料金 一般(高校生以上) 小中学生
当日 1,000円 500円
団体 900円 450円
【観覧料金】
当日 一般(高校生以上)/ 1,000円 小中学生 / 500円
団体 一般(高校生以上)/ 900円 小中学生 / 450円

*団体は20名以上
*未就学児は無料
*岡崎市内の小中学生は無料(わくわくカードまたは学生証を提示)
*各種障がい者手帳の交付を受けている方及びその介助者は無料
*展覧会限定フリーパス「Limi-pass (リミパス)」は1,500円

EVENTS

スペシャル・トーク
『クエイ兄弟の夢の世界』

登壇者 滝本誠 氏(映画評論家)
「クエイ兄弟の手作り魔術」
赤塚若樹 氏(首都大学東京教授)
「ふたりの好きなもの」
日時 5月6日(日)14:00―(当日13:00開場)
会場 当館1階セミナールーム
定員 先着70名(当日13:00から整理券配布)
参加費 聴講無料

ギャラリートーク

担当 当館学芸員
日時 4月28日(土)、5月12日(土)各日14:00―
会場 当館1階展示室
参加費 無料(ただし、当日の観覧チケットが必要です)

上映会(全3回)
上映協力 British Film Iusitute, Cité de la musique

【1】 終了致しました。
内容 『人工の夜景―欲望果てしなき者ども』 1979年(20分)
『ヤン・シュヴァンクマイエルの部屋』 1984年(14分)
『ファントム・ミュージアム―ヘンリー・ウェルカム卿の医学コレクション保管庫への気儘な侵入』2003年(12分)
【2】 終了致しました。
内容 『イーゴリ―パリでプレイエルが仕事場を提供していた頃(1920-1929)』 1982年(26分)
『ストリート・オブ・クロコダイル』 1986年(21分)
『ワンダーウッド』 2010年(3分10秒)
【3】 5月3日(木・祝)
内容 『ギルガメッシュ叙事詩を大幅に偽装して縮小した、ハナー・ルウス局長のちょっとした歌、またはこの名付け難い小さなほうき』 1985年(11分)
『変身』 2012年(33分)
『スティル・ナハト2―私たちはまだ結婚しているのか?』 1992年(3分)
時間 各日14:00―(当日13:00開場)
会場 当館1階セミナールーム
定員 先着70名(各日13:00から整理券配布)
参加費 無料

*途中入退場不可

COLLABORATION MENU

チーズステーキ

ナチュラル・カフェレストラン「YOUR TABLE」 4/7(土)―5/20(日)の期間限定 LUNCH MENU 11:00―14:30(L.O.14:00)

チーズステーキ ¥2000(税抜)

前菜盛り合わせ・パン・デザート付き

クエイ兄弟の生まれ故郷でもあり、彼らが通った芸術大学のあるペンシルベニア州フィラデルフィアで人気のメニューです。
本来は薄切り肉を、チーズ・玉ねぎと共にパンにはさんだ料理ですが、今回はサーロインステーキを贅沢に使い、とろっとろのチーズと、たっぷりの玉ねぎを使ったソースの味わいをお楽しみください。

詳しくはこちら

ACCESS

バス・電車でお越しの方

名鉄東岡崎駅(北口)バスのりば②番から「中央総合公園」行きに乗車、「美術博物館」下車、徒歩3分。
※土日祝はバスのりば①番「中央総合公園」行きの「おかざきエクスプレス」(拠点快速バス)もご利用いただけます。

お車でお越しの方

東名高速道路「岡崎インター」から約10分